fc2ブログ

蓮月尼のこと 2015.10.30


蓮月尼のこと

先日テレビで、ある高名な書家が、蓮月尼の書をとりあげて、その細い、けれども強い筆線を鑑賞して面白い話をしてくれた。
久しぶりにテレビで啓発された。

そして、その蓮月尼の、筆圧の少ない、引っ掻くような線を、世間から離れた人の心だと、いう。
たしかに、蓮月は薄幸な結婚生活のあと、隠棲して尼になった人だ。
逆に肉厚な筆使いをする人は、社会とのつながりが濃厚だと、いう。
墨筆を走らせる紙面は、即「社会面」だと、いう。

なるほど!良寛のあの飄々とした、細く軽やかな線は、社会とのつながりの薄い人の心か。
また、顔真卿のあの肉厚なぼってりした太い線はどうだろう。この情熱的な義軍の先頭をきった武人は、たしかに社会と濃厚な折衝をもった。

それはともかく、私は蓮月尼に興味をそそられ、磯田道史の書いた『無私の日本人』を注文して、その本の最終章を飾る、太田垣蓮月の生涯を読んで、感動した。

いくらか蓮月尼について知っているつもりだったが、それよりもっと劇的な人生を生きた女性だった。

私の家の近くには、蓮月尼にゆかりのスポットがいくつもある。
それに蓮月尼が住んだ知恩院は、私の家の菩提寺の元締めであるし、知恩院が藤堂家から多額の寄進を受けるような、深い関係があるのを、私は知らなかった。
藤堂家は私の母方の先祖は、「滝」という姓で、磯田の書いた蓮月尼の物語のなかに出てくる。

磯田道史の文章もひじょうにいい。
歴史的な明快な説明のなかで、いかにも面白い物語が展開する。感動もある。






少し大きい文字
スポンサーサイト



コメント

コメントの投稿

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)