バルテュスと節子さん 2014.6.5
画家バルテュスの展覧会が、今東京で開かれています。
次に京都で、7月5日から開かれます。
そして、バルテュスの未亡人である節子さんも来日しておられます。
この節子さんは、天風の自慢の弟子でした。
天風の講演を(CDでも)聞いたことのある人は、
例の「潜在意識の内容の改善」(=観念要素の更改)の中に出てくる
節子さんの名前を記憶されているでしょう。
「潜在意識の内容の改善」とは、
夜眠る前には、できるかぎり楽しいこと、嬉しいことを、
(つまり、積極的なこと)
心に思わせなさい、という方法ですね。
この方法の説明の時に、天風はしばしば、こう言われた。
「眠る前に思ったこと、考えたことは、無条件に潜在意識の中に入る。
だから、眠る前は、自分の心を“真綿で真珠を包むように”
大切にしてあげなさい」
この天風の話を、講習会で聞いた節子さんは、家に帰って、
お母さんにこう言ったそうです。
12歳くらいのときです。
「真珠のネックレスを、今晩私にかしてちょうだい」
お母さんは、ちょっとビックリして
「なぜ? あなたはまだ、真珠を身に着ける年齢じゃないわよ」
節子さんは
「だって、今日天風先生の話を聞いたら、
真綿で真珠を包むような気持ちで、眠るまえの心を大切にしなさい、
とおっしゃるから、私は枕元に真珠を真綿に包んで、
それを見てから眠りたいの」
と答えたという。
なんという、実行力のある、まっすぐな心ばえでしょう!
バルテュスは、1962年に来日しています。
そのとき節子さんと出会い、また天風を自宅にたずねて話をしています。
当時バルテュスはローマの“アカデミー・ド・フランス”の館長という
名誉ある肩書きをもっていましたから、
だれからも信頼されたことでしょう。
54歳のバルテュスは、19歳の節子さんに一目ぼれして、
まず絵のモデルを依頼し、ついで求愛したそうです。
節子さんは当時上智大学に入ったばかりで、
フランス語の会話を学んでいました。
バルテュスはフランス語を主に話しましたので、
ふたりの間にはコミュニケーションが成立したことでしょう。
バルテュスには既婚の妻がいました。(のちに離婚しますが)
それでも節子さんは、バルテュスの求愛を受け入れ、
この画家が死ぬまで、全身全霊で尽くしたそうです。
それが多くの困難をともなうことは、はじめから予想できたはずです。
節子さんは、バルテュスの伴侶となる決意をしたときの心境を、
つぎのように語っています。
「天風先生のおっしゃる、たった一度の人生――
ですから、思い切り人生をドラマテックに生きたい、
それが私の夢でした」
私は、この節子さんの夢を、すばらしいなぁ、と思います。
さらに、その夢を現実化しようとする決意を、讃仰します。
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