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[『安定打坐法考抄』 解説 (1)



『安定打坐考抄』 解説(1) 2015.6.5

 中村天風著『安定打坐考抄』がむつかしい、とおっしゃる若い方が多いので、その解説をここに書きたいと思います。
この解説を読んでいただいてから、原文にもどっていただければ、よく理解されると思います。

p1~4
 安定打坐密法を、私(=天風)は「ヨーガ式坐禅法」とも呼んでおります。その理由を知れば、この方法が、いかに幽玄な真理に基づいているか、ということを理解していただけるでしょう。
 (以下、安定打坐密法を略して、安定打坐法もしくはただ安定打坐とよびます。)
 安定打坐法は、ヨーガ式の瞑想をヒントにして、私が創案したものです。そして、どんな下根(げこん)の人でも、すぐに実行できるように、科学的な手段を応用しております。(下根の人というのは、とくに宗教的なことを会得するのが遅い人、という意味です。)
安定打坐法にからまる真理をよく理解したほうがよろしい。なぜなら、とくにインテリ階級の人は、自己流の理知的な批判をおこなう傾向があるために、安定打坐法の目的を正しく理解できない場合が、しばしば見受けられるからです。
 まず理解されたいことは、昔からわが国にある禅宗の坐禅も、私の安定打坐も、どちらもヨーガ式の瞑想を淵源とするもの、ということです。しかし、私の安定打坐は、禅宗の坐禅と比べると、集中の方法がかなり違います。
 安定打坐は、インド・ヨーガの「ダーラナ密法」からヒントを得ています。ダーラナ密法とは、瞑想に入る寸前の「集中の方法」を意味します。密法とは、文字通り「秘密の方法」という意味ですから、インドやネパールでは、ヨーガの聖者が弟子に言葉で説明しない方法、ということを意味します。
 ヨーガには、何百という集中の方法があります。その一つが、滝の音を聞くことです。しかし、普通の人は滝の音を聞いて集中しても、そこから瞑想の無念無想の状態にはいることは困難です。
 そこで私はブザーや鈴の音を利用して、安定打坐法をあみだしたのです。黒い点への集中も、ヨーガにありますが、それをどのように利用するかについて、ヨーガは教えてくれません。ヨーガというものは元来、言葉で教えないで、弟子が師匠の思いを察知して(いわゆる以心伝心)、自ら悟るものなのです。
 でも、私はくわしく言葉で説明しながら指導しております。現代の日本人は、言葉による詳しい説明がないと、まったく理解できないからです。その点、日本とインドでは文化がちがいます。
 安定打坐法の目的は、霊的能力の発現につながるトランスの境地に入ることです。英語のトランスとは、心が空になった状態、つまり無我無念、あるいは無念無想ということです。






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