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サラ・ベルナール邸をついに発見

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サラ・ベルナール邸を発見

 サラ・ベルナールは、パリのペレール通りに住んでいました。
ペレール通りは、パリの西端に、南北に約10キロもある長い並木道です。
このあたりはパリでも有数の高級住宅街です。
青い屋根にマンサードのある、豪華なマンションが立ち並んでいます。
街路樹がつづき、路の真中に、さまざまな花のさく庭園がありますす。
(白と紫のペチュニア、黄色いガザニア、白いバーベナ、ピンクのコスモスなど)

 私は、ムダと知りながらも、会う人ごとに
「ひょっとして、サラ・べルナールの邸宅のあったところを知りませんか」
とたずねました。
 答えはきまって
「知りませんね」でした。

 ある花屋さんで聞くと、意外なことに、その年配の女主人が
「その先にあると聞いたことがあります」
と、その方向を指さしました。私はふたたび疲れた足をひきずって、妻と、そのあたりを歩きまわりましたが、ぜんぜん分かりませんでした。

 もう夕暮れでした。
 私たちは完全に諦めて、ホテルにもどるべく歩いていたときです。
 1台のタクシーが、目の前でとまり、中から中年の夫婦と、その娘さんらしき人が出てきました。
 私は「これが最後!」と心に決めて、そのお父さんとおぼしき紳士に、フランス語でたずねました。
「エクスクゼ・ムア・ドゥヴゥ・デランジェ・ムッシュウ・・・ジェ・アン・プロブレム」

 これは「魔法の呪文」とよばれているものです。
 パリで道に迷った時、この呪文を使うと、どんな人でも、かならず親切に答えてくれます。この呪文を知らないと、パリでは、いきなり道をたずねようものなら、答えは「ノン」で終わりです。


 この「魔法の呪文」の意味はかんたんです。
「だんなさま、ご迷惑をおかけして、まことに申し訳ありません。私は困っているのです」

 私がこの呪文をとなえながら、例の紳士に近づくと、なんと! その紳士はたちどまり
「サラ・べルナールの邸宅は、そこです。私の家の裏にあります」
と、英語で教えてくれました。目前にある彼の家も、圧倒されるような立派な邸宅でした。その裏にある!というではありませんか!
 しかも、その娘さん(25歳くらい)が、
「私がご案内しましょう。私は商社で働いていますが、上海に数年いて帰ってきたばかりです。私は英語が話せます」
 と、言われました。私は、パリに来てからひさしぶりに、英会話をして、サラ・べルナールのことや、この界隈の話を、彼女から聞くことができました。
 
 サラ・べルナールの邸宅は、ペレール通り120番(Boulevard Pereire 120)から、50メートルほど斜めに入った道に面しています。私はついにサラ・べルナールの邸宅を発見できたのです。建物の半分は取り壊されて、そこは庭になっていて樹木がたっていましたが、サラ・べルナールの伝記でみた、写真とおなじ邸宅が、そこにありました。
 
サラ・べルナール邸は、現在は弁護士の事務所になっています。でも、呼び鈴をおしても返答はありませんでした。
「今日は日曜日だから、弁護士さんはお休みのようです」と、娘さんは言われます。
私は、その異国趣味のロマンティズムを感じさせる、こった意匠の建物を眺めるだけで、満足でした。

 肺結核で病みおとろえた天風青年が、1906年、パリ駅から馬車をはしらせて、この邸宅にたどりついた情景を思い浮かべ、当時をしのびました。
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